相続が発生すると、財産だけでなく借金も引き継ぐ可能性があります。
「借金まで相続したくない」「不動産は残したいが、借金がどれくらいあるのか分からない」そんなときに使える制度が 「相続放棄」 と 「限定承認」 です。
この記事では、それぞれの特徴・手続き方法・メリットとデメリットを比較し、どちらを選ぶべきかの判断材料をわかりやすく解説します。
相続放棄とは?メリット・デメリットと手続き方法
定義
相続放棄とは、最初から相続人でなかったことにする制度です。(民法939条)
プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しません。
主なケース
- 借金が財産より多い
- 相続に関わりたくない
- 他の相続人にすべて譲りたい
手続き方法
- 相続開始を知った日から 3か月以内 に家庭裁判所へ申述
- 申述書、戸籍謄本、収入印紙などを提出
- 裁判所で受理されると「相続放棄申述受理通知書」が届く
メリット
- 借金を一切引き継がない
- 相続手続きに関与しなくてよい
デメリット
- 財産も相続できない
- 期限(3か月)が短い
限定承認とは?メリット・デメリットと手続き方法
定義
限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内でのみ借金を返済する制度です(民法922条)。
主なケース
- 財産と借金のどちらが多いか不明
- 不動産や事業などを残したい
- 借金を全て放棄せず、リスクを限定したい
手続き方法
- 相続人全員の同意を得る(単独不可)
- 相続開始を知った日から 3か月以内 に家庭裁判所へ申述
- 相続財産管理人が清算手続きを行う
メリット
- 借金があっても、財産の範囲内で処理すれば残りを相続できる
- 財産を守りながらリスクを限定できる
デメリット
- 相続人全員の同意が必要
- 手続きが複雑で時間と費用がかかる
- 税務処理が必要になる場合がある
相続放棄と限定承認の違いを比較
- 相続放棄 → 相続人でなかったことになる(借金も財産も一切引き継がない)
- 限定承認 → 財産の範囲内で借金を返済(プラスが残れば相続できる)
👉 借金が多いとわかっている場合は「相続放棄」
👉 借金と財産のバランスが不明な場合は「限定承認」
手続きの期限と注意点
- 熟慮期間は3か月以内(相続をどうするか考えるための猶予期間)
- 財産調査を行い、財産目録を作成することが大切
- 相続放棄をしても次順位の相続人に権利が移る
- 限定承認は専門家のサポートが不可欠
まとめ
- 借金が多ければ「相続放棄」
- 財産のプラスとマイナスが不明なら「限定承認」
- いずれも3か月以内に家庭裁判所で手続きが必要
✅ 結論:
「借金が多いなら相続放棄」「財産調査が必要なら限定承認」と使い分けましょう。迷ったら弁護士・司法書士など専門家に相談することをおすすめします。
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